コンデンサーを含む回路の問題(十分時間がたったとき)の考え方2〔C2つ電池なし〕

電磁気

2つのコンデンサーを接続する場合(電池なし)

図1のように、電気容量 \( C_1 \)〔F〕, \( C_2 \)〔F〕のコンデンサー \( \mathrm{C_1} \) , \( \mathrm{C_2} \)、スイッチ \( \mathrm{S} \) 、抵抗 \( \mathrm{R} \) からなる回路がある。はじめ、スイッチ \( \mathrm{S} \) は開かれており、コンデンサー \( \mathrm{C_1} \) の電気量は \( Q \)〔C〕、コンデンサー \( \mathrm{C_2} \) の電気量は \( 0 \) C であるとする。

では、\( \mathrm{S} \) を閉じると、どうなるでしょうか。

\( \mathrm{S} \) を閉じると、回路に時計回りの電流が流れ(電子が反時計回りに移動し)、コンデンサー \( \mathrm{C_1} \) に蓄えられていた電荷の一部がコンデンサー \( \mathrm{C_2} \) に移動し、 \( \mathrm{C_1} \) と \( \mathrm{C_2} \) に電荷が蓄えられます。また、十分時間がたてば電荷の移動が完了し、回路を流れる電流は 0 A となるでしょう。

この時点で、図2のような電位のイメージができていることが理想です。

\( \mathrm{S} \) を閉じる前(図2左の状態)、コンデンサー \( \mathrm{C_1} \) の電位差は \( \frac{Q}{C_1} \)〔V〕ですが、\( \mathrm{C_2} \) の電位差は \( 0 \) V です。スイッチ \( \mathrm{S} \) の左右で、電位(高さ)に差がある状態です。

\( \mathrm{S} \) を閉じると回路に電流が流れ、\( \mathrm{C_1} \) の電荷が \( \mathrm{C_2} \) に移動して、\( \mathrm{C_1} \) の電位差は小さくなり、\( \mathrm{C_2} \) の電位差は大きくなります。そして、最終的に2つのコンデンサーの電位差が等しくなり、電荷の移動が終わります。

現時点では、コンデンサー \( \mathrm{C_1} \) を電池と考え、コンデンサー \( \mathrm{C_2} \) を充電したと考えればよいです。ただし、\( \mathrm{C_1} \) は \( \mathrm{C_2} \) を充電すればするほど電位差(電圧)が下がっていく特殊な電池と考えます。

「コンデンサーの状態が変わったとき」に考えること

2つのコンデンサーを直列接続する場合(電池あり)」で示しましたが、コンデンサーの状態が変わったとき、私たちはコンデンサーの \( Q \) , \( C \) , \( V \) をすべて知ること(使える文字が決まっていれば、使える文字を用いてすべて表すこと)が目標となります。

では、前と同じの流れ(「まとめ」の流れ)で、\( Q \) , \( V \) を求めましょう。

コンデンサーを含む回路(十分時間がたったとき)における \( Q \) , \( V \) の求め方

注目しているコンデンサーの電気量を \( Q \)、極板間の電位差を \( V \) とおく。

コンデンサー \( \mathrm{C_1} \) , \( \mathrm{C_2} \) に電荷が蓄えられるので( \( \mathrm{C_1} \) , \( \mathrm{C_2} \) の状態が変わるので)、図3のように,それぞれ \( Q_1 \)〔C〕, \( V_1 \)〔V〕, \( Q_2 \)〔C〕, \( V_2 \)〔V〕とおくことが基本ですが、おく文字を減らせそうなら、はじめから減らした方がよいので、工夫できないか考えます。

すでに確認したとおり、電池をつけずに2つのコンデンサーで回路をつくると、最終的に2つのコンデンサーの電位差は等しくなるので、文字を減らして、\( Q_1 \)〔C〕, \( Q_2 \)〔C〕, \( V \)〔V〕とおくことにします(図4)。

注目しているコンデンサーの数だけ \( Q=CV \) の式を立てる。

コンデンサー \( \mathrm{C_1} \) , \( \mathrm{C_2} \) に注目して式を立てて、\[ Q_1=C_1 V … ① \\ Q_2=C_2 V … ② \] これで、式を2つ立てることができました。

今回も、文字を3つ( \( Q_1 \) , \( Q_2 \) , \( V \) )おいたので、解くためには方程式が3つ必要です。あと1つ式を立てましょう。

「電圧の関係式」と「電気量保存の式」を、必要に応じて立てる。

今回は、まず「電気量保存の式」について考えましょう。電気量保存の法則より、「コンデンサーで挟まれた部分(孤立部分)の電気量の総和は一定」なので、スイッチ \( \mathrm{S} \) を閉じる前の図1と、閉じて十分時間がたったときの図4を見ながら孤立部分を探します。

図5のように、緑の孤立部分に注目すると、電気量保存の法則より、\[ Q + 0 = Q_1 + Q_2 … ③ \] が成り立ちます。これで、式を3つ立てることができました。

なお、「電圧の関係式」については、すでに電圧(電位)の関係を考えて文字をおいたので(文字を減らすときに使ったので)、ここでは必要ありません。

連立方程式を解く。

連立方程式を解いて、\( Q \) , \( V \) を求めます。(解き方の詳細は、補足「連立方程式の解き方(例)」に示しました。)

①,②,③より、\( Q_1 = \frac{C_1}{C_1 + C_2} Q \)〔C〕, \( Q_2 = \frac{C_2}{C_1 + C_2} Q \)〔C〕, \( V = \frac{Q}{C_1 + C_2} \)〔V〕

これで目標達成です。

補足

連立方程式の解き方(例)

\[ Q_1=C_1 V … ① \\ Q_2=C_2 V … ② \\ Q + 0 = Q_1 + Q_2 … ③ \]

〔解き方1〕

①,②を③に代入して、\[ Q=C_1 V + C_2 V \\ よって、V = \frac{ Q }{ C_1 + C_2 } 〔\mathrm{V}〕\] ①,②に \( V \) を代入して、\[ Q_1=C_1 V = \frac{C_1}{C_1 + C_2}Q〔\mathrm{C}〕\] \[ Q_2=C_2 V =\frac{C_2}{C_1 + C_2}Q〔\mathrm{C}〕\]

〔解き方2〕(比などを利用して、工夫して解きます)

①,②より、\[ V=\frac{Q_1}{C_1}=\frac{Q_2}{C_2} \\ よって、Q_1:Q_2 = C_1:C_2 \] ③より、\( Q=Q_1+Q_2 \) なので、( \( Q \) を \( Q_1 \) と \( Q_2 \) に、\( C_1 \):\( C_2 \) で分けて、)\[ Q_1=Q \times \frac{C_1}{C_1+C_2}=\frac{C_1}{C_1+C_2}Q〔\mathrm{C}〕\] \[ Q_2=Q \times \frac{C_2}{C_1+C_2}=\frac{C_2}{C_1+C_2}Q〔\mathrm{C}〕\] ①(または②)より、\[ V=\frac{Q_1}{C_1}=\frac{Q}{C_1+C_2}〔\mathrm{V}〕\]

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