電池と抵抗のみの回路を流れる電流の求め方(キルヒホッフの法則の使い方 その1)

電磁気

例題

図1の回路において、\( \mathrm{E_1} \),\( \mathrm{E_2} \) はそれぞれ内部抵抗が無視できる起電力が 18V , 5.0V の電池、\( \mathrm{R_1} \) , \( \mathrm{R_2} \) , \( \mathrm{R_3} \) はそれぞれ 20Ω , 12Ω , 10Ω の抵抗である。各抵抗を流れる電流を求めよ。

各抵抗を流れる電流を求めるにはどうしたらよいのか、その方法について確認しましょう。

回路を流れる電流の求め方(キルヒホッフの法則の使い方・基本)

抵抗を流れる電流を \( I \) とおく。

3つの抵抗 \( \mathrm{R_1} \) , \( \mathrm{R_2} \) , \( \mathrm{R_3} \) に流れる電流を求めたいので、それぞれ \( I_1 \)〔A〕, \( I_2 \)〔A〕, \( I_3 \)〔A〕(図の向きを正)とおきます。

電流の文字をおくときはそれぞれ正の向きを決め、図2のように、その向きを矢印で書いておきます。なお、電流の向きは、「この向きに流れそうだ」という予想の向きでよいです。

※ はじめから電流(文字と正の向き)が決められている問題を解くときは、ここは飛ばしてください。

通っていない部分がなくなるまで、キルヒホッフの第2法則を用いて式を立てる。

任意の経路を1周すると、「(起電力の和)=(抵抗における電圧降下の和)」が成り立ちます。この関係が成り立つことを、キルヒホッフの第2法則といいます。これは、1周回って元の位置に戻ると、電位(高さ)も元の電位に戻ることを示しています。

式の立て方は、回路の高さを調べながら1周回って、「電池で上がった分を左辺に、抵抗で下がった分を右辺に」書きます。ここでは、以下の関係を使って式を立てますので、必要な知識を確認しましょう。

〔必要な知識〕抵抗と電池における電位の変化

図3(左)のように、抵抗値 \( R \)〔Ω〕の抵抗に電流 \( I \)〔A〕が流れると、電位は電流の向きに向かって、\( RI \)〔V〕下がります。これを、電圧降下または電位降下といいます。また、図3(右)のように、起電力 \( E \)〔V〕の電池は、回路に \( E \)〔V〕の電位差(-側より+側が \( E \)〔V〕高い状態)を作ります。

では例題で、キルヒホッフの第2法則を使ってみましょう。

図4-1のように、経路fabefについて、キルヒホッフの第2法則を用いると、(まず電池 \( \mathrm{E_1} \) で18V上がるので、左辺に18と書きます。次に、抵抗 \( \mathrm{R_1} \) で \( 20 I_1 \)〔V〕下がるので、右辺に \( 20 I_1 \) と書き、さらに抵抗 \( \mathrm{R_2} \) で \( 12 I_2 \) 〔V〕下がるので、右辺に \( 12 I_2 \) と書き足します。)\[ 18 = 20 I_1 +12 I_2 …① \]

※ ここでは、図5のような電位(立体図形)をイメージしながら式を立てられるとよいです。回路全体を考える必要はなく、回るところの「上がる、下がる」がイメージできれば大丈夫です。

続けて、図4-2のように、経路dcbedについて、キルヒホッフの第2法則を用いると、\[ 5.0 = 10 I_3 +12 I_2 …② \]となります。

これで通っていない部分がなくなったので、これ以上式を立てても新しい情報は得られません。

今回、文字を3つ( \( I_1 \) , \( I_2 \) , \( I_3 \) )おいたので、解くためには方程式が3つ必要です。そのため、別の方法であと1つ式を立てましょう。

式が足りるまで、キルヒホッフの第1法則を用いて式を立てる。

回路中の任意の点について、「(流れ込む電流の和)=(流れ出す電流の和)」が成り立ちます。このことをキルヒホッフの第1法則といいます。

式の立て方は、回路の枝分かれしている点に注目し、「その点に矢印が向いている電流(流れ込む電流)を左辺に、その点から矢印が出ている電流(流れ出す電流)を右辺に」書きます(図6に例を示します)。

では例題で、キルヒホッフの第1法則を使ってみましょう。

点bについて、キルヒホッフの第1法則を用いると、\[ I_1 + I_3 = I_2 …③ \] が成り立ちます。これで、式を3つ立てることができました。

連立方程式を解く。

連立方程式を解いて、\( I_1 \) , \( I_2 \) , \( I_3 \) を求めます。

①,②,③より、\( I_1=0.60 \, \rm{A} \) , \( I_2=0.50 \, \rm{A} \) , \( I_3=-0.10 \, \rm{A} \)

はじめから電流(文字と正の向き)が決められている問題の場合は、これが解になります。

※ \( I \) が負になる場合、電流の向きがはじめにおいた向きと逆向きであることを表しています。

また、自分で文字をおいた場合は、次のように電流の向きと大きさを書いて解とすることが多いです。

\( \mathrm{R_1} \) :f → a の向きに 0.60 A, \( \mathrm{R_2} \) :b → e の向きに 0.50 A,\( \mathrm{R_3} \):c → d の向きに 0.10 A

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